企業で作られる動画は、実に8割近くが自社PRを目的とした広告です。

僅か数十秒で視聴者の注意と関心を引く動画広告は、大手企業に比べて知名度に劣る中小企業にとってまさに切り札となるコンテンツ。自社PRはもちろん、新商品の販売や会員登録の促進に使う事例も増えています。

「動画を利用する企業は、どのような目的・方法で発信しているのか?」

気になる部分ではないでしょうか。そこで今回は、動画の目的別利用方法を解説し、それぞれの傾向を説明します。

動画制作の主な目的は?

動画制作を検討する企業様の8割近くは、「自社の認知度アップ」が目的です。

下記はYahooマーケティングソリューションによる、「Yahoo! JAPANが動画を活用しているさまざまな企業の社員」に対して行われた、動画制作の目的に対する調査記録です。

1位の「認知度アップ」は、ただ8割近くを占めているだけでなく、「ファンを増やす」、「購入・会員登録促進」を上回る勢いを示しています。

引用:Yahoo!マーケティングソリューション「動画コンテンツを活用している企業の担当者4,120人への調査結果から浮かび上がった活用方法と課題」

動画の内容は?

動画の内容は「商品・サービスの紹介」が大半を占めています。

割合としては一般消費者が勝っていますが、ビジネスユーザー向けの動画も決して少なくありません。

「自社商品・サービスの認知度アップ」を目的とした場合、想定される視聴者は「ターゲット層のうち、自社そのものor商品を知らない人」が大半です。

これらのターゲット層に対しては、理解に時間のかかる文章や画像で訴求するより、

「強烈なインパクトで短時間で関心を引きつける動画」

との相性が良いと判断されていることがわかります。

引用:Yahoo!マーケティングソリューション「動画コンテンツを活用している企業の担当者4,120人への調査結果から浮かび上がった活用方法と課題」

動画の活用場面(利用方法)は?

動画の目的別利用方法としては、「自社のホームページ」がトップで44%程度、「FaceBooK」に「YouTube」などのSNS系も目立ちます。

特にSNSなどアーンドメディア向けの動画は、

  • 自社アカウントを使用しての配信向け動画制作
  • SNSの広告欄での表示

上記2種に分類され、多くの企業がそのどちらか、あるいは両方を使用しているものと考えられます。

引用:Yahoo!マーケティングソリューション「動画コンテンツを活用している企業の担当者4,120人への調査結果から浮かび上がった活用方法と課題」

それぞれの目的別利用方法は?

動画制作は自社の認知度アップや、ファンを増やすなど、それぞれの目的に従い利用方法が決まります。

動画に対して効果的な訴求効果を持たせるためには、それぞれの目的別利用方法を探ることが重要です。

認知度アップ

認知度アップを目指す場合はSNSを利用したマーケティングが必要です。

自社のウェブサイトだけではどうしても閲覧数に限界が生じます。対して、不特定多数の閲覧が期待できるSNS配信は、目的別利用方法として非常に重要だと言えるでしょう。

動画の方向性としては、とにかく高品質かつインパクト大。

SNS向けの動画は再生時間が短いため、認知度アップを目指す時は、短い時間で強い興味を引く動画構成が重要です。

視聴年齢層を意識する

特に個人の視聴者を対象として、認知度アップを狙う場合、配信先のSNSの選択が非常に重要です。

下記の表は総務省調査による、ソーシャルメディアの利用率を年齢別に分析したものですが、

  • Twitter:10代~20代が多い
  • Facebook:30代~はTwitter利用率を上回る。
  • YouTube:全世代に高い効果が期待できる。40代以降はLINEを上回る。

上記のように、SNSごとに特徴が分れる点を把握しましょう。

引用:総務省 「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

SNSのトレンドを意識する

SNSはコンテンツのトレンドサイクルが短く流行り廃りが激しい点が特徴です。

動画制作ではSNSによって適した再生時間構成が異なります。(例:YouTubeでは2分~3分程度、Twitterでは30秒~45秒程度など)

そのため、普段からSNSに接していない方はもちろん、利用している方もトレンド認識にズレがないか確かめたほうが確実です。

下記の総務省調査によると、

  • LINE:平成24年以降急速に伸長。平成28年時点では67%の利用率。
  • Facebook:停滞。世界的な情報漏洩事件の影響で今後の利用率低下も懸念される。
  • Twitter:堅調に利用率を伸ばす。
  • Gree、Mobage、mixi:平成24年~平成28年は利用率低下。衰退傾向にある。

引用:総務省 「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

ファンを増やす

ファンユーザーの増加を目的とする場合は、SNSと自社ホームページの両面からアプローチする方法が有効です。

自社ホームページを訪問する視聴者は既に自社を知っています。

また、SNSの広告から興味を持ち訪れるユーザーも多いため、目的別利用方法としては、SNSと自社ホームページの「シナジー効果」を持たせる戦略が有効です。

動画の性向としては、商品紹介やティザー動画の他に、「再生時間をやや長めにした、自社についてより深く知ることができるブランディング動画」なども好まれます。
※ ティザー動画とは30秒程の短い映像を意味する言葉。

購入・会員登録促進

購入や会員登録の促進を目指す場合、自社コンテンツを重視して配信することをオススメします。

特に高額な商品・サービスの場合、SNSの短い広告を閲覧しただけでいきなり購入を決断する視聴者はごく稀です。また、自社に対する信頼性を与えるまで、個人情報の提供に抵抗を感じる視聴者もいるでしょう。

動画の性向としては、SNS向け動画で関心を寄せた視聴者を想定して、漠然としたイメージに留まらない、自社の信頼性やサービスの内容を的確に伝える動画を提案します。

社内or外注はどちらを取るべき?

動画制作の際は目的に応じて、自社制作と外部制作を使い分けるべきです。

当然、全ての動画を専門の動画制作会社に依頼することができれば、自社の人的リソースを節約しつつ、ハイクオリティな動画制作が期待できます。

ただし、全ての動画を外部制作しているとコストが膨大になります。特に頻繁に動画を発信する企業様の場合、コスト面が非常に重荷です。

品質重視の動画を外注する

商品の紹介動画やブランディング動画など「認知度アップ」を目的とした動画は、高品質なものほど効果が期待できます。

そのため、企業様の多くはこれらの動画を制作会社へと依頼。

  • 開始数秒で興味を引く新商品動画
  • 思わず見とれてしまう美麗なブランディング動画
  • CGやアニメーションを多用したPR動画

上記のようなプロならではの高品質な動画を提供することで視聴時間を確保して、企業や商品に対する好印象を与えます。

イベントや展示会動画などは社内制作も

自社ウェブサイトや自社アカウントによるイベントや展示会等の動画については、自社制作を多用するケースも見られます。

これらの行事の投稿のうち、「自社スタッフが撮影しました」といったニュアンスを持たせる場合、高品質な撮影・編集技術は必ずしも必要とは言い切れません。

まとめ

動画制作の構成や内容は、目的別利用方法により定まります。

例えば下記のように、目指すべき目的を意識した、利用方法の選択が重要です。

  • 自社の認知度アップ:SNSに向けて短めの動画を配信
  • ファンを増やす:SNSからの来訪者を想定した詳細な動画を配信

また、インパクトを重視したり、内容に正確性を持たせるなど、動画の内容構成も目的に合わせて変更します。

これらはいずれも、想定する視聴者のニーズに応えるため。ニーズにマッチした魅力的な動画は、自社に大きなメリットをもたらすでしょう。