「パンフレット」と「カタログ」は、どちらも紙媒体の小冊子です。ページ数が異なる程度で両者に大きな差はないため、”同じようなもの”と考えている方も多いのではないでしょうか。ところが、両者の「役割」や「目的」を考えてみると、記載すべき内容や方向性など、様々な部分で”違い”が見えてきます。
今回は「マーケティングにおけるパンフレットとカタログの違い」について解説しようと思います。
目次
パンフレットとは?
パンフレットは特定の商品やサービスの「紹介」を目的とした小冊子です。カタログや書籍と比べページ数が少なく、最大でも48ページ以下にまとめたものを指しています。
小冊子とは、いずれかの1国で出版され、かつ、講習の利用に供される少なくとも5ページ以上48ページ以下(表紙を除く)の印刷された不定期刊行物を言う。
参考:図書、新聞及び定期刊行物の出版及び配布についての統計の国際的な標準化に関する改正勧告(仮訳)日本ユネスコ国内委員会/文部科学省
パンフレットの多くは10ページ程度で制作され、製本されているものもありますが、針金綴じなど簡易な方法で作られているケースも多い点が特徴です。
カタログとは
カタログは、自社の商品やサービス内容を一覧化した「説明書」です。取り扱う商品・サービスをラインナップ化し一度に見せることを目的としているため、パンフレットの何倍もボリュームがあります。数百ページに至ることも珍しくありません。
カタログはページ数が多いためどうしても分厚い冊子になりがちです。そのため、糊づけした背表紙のあるしっかりとした製本方法で作られています。
パンフレットとカタログの違い
パンフレットとカタログは、記載すべき内容や担うべき役割が異なります。
記載内容 | 目的 | 対象ユーザー | |
---|---|---|---|
パンフレット | 特定商品やサービスの紹介 | 商品やサービスの紹介 | 興味関心の低いユーザー |
カタログ | 自社商品やサービスのラインナップ | 商品の選択から注文 | 興味関心が高いユーザー |
記載内容の違い
パンフレットとカタログは目的(商品やサービスの紹介)については同じですが、具体的に記載する内容やその方向性は異なります。
パンフレットは、ページ数が少ないため多くの商品を紹介する場合には不向きです。新商品など注目度の高い商品・サービスをフォーカスし、ユーザーの関心を魅きつける役割に向いています。
対してカタログは、自社商品の一覧化・ラインナップ化に適しています。ボリュームを活かして多くの商品を掲載できるだけでなく、カテゴリーや用途別に整理することで、ユーザーが選びやすいように制作することができます。特定の商品に偏重してしまうと全体のバランスが崩れてしまうため、そのような役割はパンフレットの方が適しています。
目的の違い
パンフレットとカタログでは、制作する目的においても違いがあります。
パンフレットは商品やサービスの「紹介」を目的としています。メインとなる商品やサービスを紹介することで、企業のブランディングイメージを構築するなど、”ユーザーに認知してもらうこと”が役割と言えます。
一方カタログは「商品の選択・注文」が目的です。細かい仕様による価格の違いや、カラー・サイズのラインナップを掲載することで、一目で商品・サービスの内容をユーザーに伝えることができます。また、注文書を同封することで「注文」まで対応することが可能となります。
対象ユーザーの違い
パンフレットとカタログでは対象とするユーザーについても違いがあります。
新規のユーザーは、商品やサービスに対する知識・関心度は低いことが当然です。多くの商品がずらりと掲載されたカタログを見ても、選択肢に迷いますし、商品の良さも的確に伝わらないでしょう。新規ユーザーに対しては、まずユーザーの目的にあった商品・サービスのパンフレットを渡し、特長やメリットについて認知してもらうことが適切です。
一度関係を築いている既存ユーザーは、カタログを渡すことで、リピート購入や関連商品の購入に至るケースが高いでしょう。使用方法や商品の性質、メリットについて熟知しているユーザーであれば、その経験をもとにカタログに掲載されている商品・サービスとの比較検討が可能なため、ラインナップを確認できるカタログが適切です。
パンフレットとカタログの活用方法
パンフレットとカタログの違いを理解した上で、活用しましょう。
パンフレットの活用方法
- 新規顧客獲得に向けたポスティング
- 人気サービスの紹介を通じたブランドイメージの構築
- 既存顧客に対しての新商品・サービスの紹介
パンフレットは特定商品やサービスの紹介に適している冊子です。人気商品や新サービスなどの紹介はもちろん、ブランディングを目的とした宣伝にも活用できます。また、パンフレットはカタログに比べ制作コストが低いため、興味関心の低いユーザーに向けた配布やポスティングによる新規顧客獲得などに適しています。
カタログの活用方法
- 既存顧客へ提供
- 業界展示会など関心度の高いユーザーが集まる場所に設置
- デジタルコンテンツとして提供
カタログは自社商品やサービスのラインナップ・一覧化に適しています。制作コストは高いためポスティングや宣伝には不向きですが、既存顧客への提供や、業界展示会など関心度の高いユーザーが集まる場所への設置に向いています。
近年ではデジタルカタログも浸透してきており、ホームページのコンテンツの1つとしている企業も増えてきています。自社ホームページ内でパンフレットとカタログの役割を分担させ、ユーザーを育成し商品購入へ繋げています。
ユーザーの目的に合わせパンフレットとカタログを使いわけよう
“対象ユーザーに応じたアプローチ”は、商品の販売において重要なポイントです。下記の状況で「パンフレットを渡す」「カタログを渡す」それぞれのケースを考えてみましょう。
あなた | チャーハンが得意な中華レストランの店主 |
---|---|
ユーザー | チャーハンが食べたいと悩んでいる |
(A)自店のチャーハンの魅力が書かれたパンフレットを渡す
ユーザーはこのお店のチャーハンの美味しさや魅力に興味を持ち、自分からお店のメニュー(カタログ)にたどり着き、値段やボリュームを確認するでしょう。妥当と判断したユーザーはチャーハンを注文します。味・値段に満足すれば、リピーターとなる可能性もあります。
(B)自店の全商品が掲載されたメニュー(カタログ)を渡す
ユーザーは「チャーハンを食べたい」と考えていたが、メニュー(カタログ)にはラーメンや餃子も載っているため、「このお店のチャーハンは美味しいのかな?」と疑念を抱き、選択に迷いが生じます。その結果、「他のお店も見てみよう」と考え購入には至りません。
まとめ
パンフレットとカタログは、記載内容も違えば活用方法も異なります。
パンフレットはページ数が少なく、特定商品やサービスの紹介を目的とした冊子です。カタログのように多くの商品は掲載できませんが、特定の商品を紹介することでユーザーの興味関心高め、ブランドイメージを構築することに適しています。
カタログは、自社商品のラインナップを掲載するものです。商品に関する情報はもちろん、仕様やサイズによる価格の違いを記載することで選択・注文まで対応できます。
両者の違いを活かし、営業活動に役立てましょう。