ロゴデザインの形状や色の選び方で決まるのは企業ブランドだけではありません。

汎用性に優れたデザインにすることで、利用用途が広がり、使いやすいロゴマークにすることができます。強く印象に残るロゴを作ることも重要ですが、作成後の利用場面などをあらかじめ想定しておくことが大切です。

ここでは、以外と知られていないロゴを作成する際のポイントを確認していきましょう。

ロゴマークの重要性

ロゴマークの役割は、企業のブランド価値を高めることです。

ロゴマークは企業の顔ということもできます。ロゴマークとは企業の理念やメッセージをひと目でわかるようにまとめたものだからです。パンフレットや広告などに使用することで、幅広い場面で消費者に覚えてもらうために役立ちます。

具体的なロゴマークの例としては、「マクドナルド」には街中で見かけた際に気軽に立ち寄ることができるようなロゴデザインといえるでしょう。「スターバックス」もまた、雑多な繁華街のなかでも、目を引くようなデザインです。iPhoneで知られる「アップル」は、洗練されたシンプルなデザインのロゴマークを使用することで、最先端のテクノロジーを想像させます。

企業ごとに伝えるべきメッセージは異なるので、理想的なロゴデザインは様々ですが、ブランドイメージがよく伝わるようなロゴマークを作ることが大切です。

ロゴマーク作成時に押さえておきたいポイント

ロゴマークの作成では、気をつけるべき2つのポイントがあります。

1つは感覚的に優れていることです。感覚的とは、見た目の良さや信頼できるといった、ロゴマークが消費者に与える印象を意味します。独自性があるデザインやカラーリングなど、デザイン面で優れていることは欠かせません。ロゴマークは企業の顔になるものですから、感覚的に優れたデザインを目指すことは大切です。

もう1つは機能的に優れていることです。機能的とは、印刷などで利用する際の扱いやすさです。利用条件に応じた変化にも対応できるロゴマークは、機能的に優れているといえます。

独自性があるか

企業のセールスポイントがユニークであるように、ロゴマークも独自性を備えたデザインを目指しましょう。同業の一流企業の模倣をしてしまうケースが時々ありますが、独自性という面から考えると適していません。独自性があるロゴマークは、唯一無二であることを意味します。形状や配色を通して、企業が持つ特徴を表現しましょう。

また、ブランドロゴが有名になると、他社にロゴマークをまねされる場合があるかもしれません。その場合でも、使用する文字の書体や曲線の描き方など、細部にまでこだわったロゴデザインであれば、まねをする企業と一線を画しやすくなります。

モノクロでも認識できるか

低解像度でも認識できる程度のシンプルさを備えたロゴは、利用場面を広げることができます。

たとえばロゴマークの使用例として、新聞掲載などの白黒印刷、Tシャツのようなノベルティなどがあります。広告などでロゴマークを使う場合に備えて、モノクロの印刷でも認識できるような可読性があると良いでしよう。

フルカラーの配色

洗練された配色のデザインを意識しましょう。

複数の色を使うことに気を配りすぎると、あれもこれもと詰め込みすぎて混雑したデザインになるので注意が必要です。

デザインにおける配色では、主に3つの色が使用されます。使用面積がもっとも多い「ベースカラー」、主役で目立つ「メインカラー」、わずかな使用面積で全体を引き締める「アクセントカラー」があります。

配色は企業のイメージカラー、ブランドカラーなどをベースにして決定していくと良いでしょう。日本国内では、赤・青・緑系統を利用するケースが多くあります。

使用時のイメージができているか

ロゴマークを使用する状況を事前にイメージしておきましょう。

封筒や名刺、看板は定番の使用例ですが、その他にも企業のロゴマークを使ったタオルやボールペンといったノベルティを作る場合もあるかもしれません。その場合、ロゴマークの変形をどこまで許容するか決めておくのが一般的です。特に大規模組織になるほど、利用ケースが増えるので規定を決めておくと役に立ちます。拡大や縮小の縦横比、余白や部分的な変形、配色の変更など、許容範囲のルール設定をしておきましょう。ちなみにロゴデザインの使用ルールのことを「ロゴレギュレーション」と呼びます。

拡大縮小しても認識できるか

ロゴマークは、大きさを変更しても認識できるようなシンプルなデザインにしておくべきでしょう。自社施設の看板やWebなど掲載範囲を自由に決めることができる状況ばかりではありません。広告掲載の際には、掲載サイズが媒体ごとに指定されていたり、画像の解像度もさまざまです。また、動画広告のように、目に入る時間に制限があるかもしれません。

拡大や縮小などの条件が制限される状況でも、一目でわかる無駄な部分をそぎ落としたデザインを目指すと良いでしょう。

汎用性が高いロゴデザインが好まれる

ロゴマークの使用用途は多岐にわたります。そのため、配色やサイズが複雑にならないように注意が必要です。

たとえば、書籍や新聞のようなモノクロ印刷、カラーで使用する場合でもWebやテレビディスプレイで使用するRGBとプリント印刷で使用するCMYKでは色の再現度が異なります。使用場面が変わっても同じ企業ロゴだとわかるようなわかりやすさを心がけましょう。

また、デザインを緻密に作りすぎると、サイズを変更した際につぶれてしまうこともあります。どれだけ時間をかけてこだわったとしても、使用できる場面が制限されてしまっては、ロゴデザインとして好まれづらいでしょう。

そして、奇抜なエフェクトを多用しないよう注意が必要です。ドロップシャドウによるアクセントやグラデーションを使ったカラーリングなど、むやみにこったロゴマークを制作すると自己満足なロゴデザインになりかねません。複雑すぎず、幅広い場面で利用できるロゴデザインを意識すると良いでしょう。

ロゴマークの作成方法とそれぞれのメリットデメリット

ロゴマークは、見た目が良いイラストやグラフィックを描くだけのデザインとは言えません。企業のストーリーやメッセージを表現するザインです。

ロゴに含まれる意味やわかりやすさを形にするために、どこの誰へ委託するべきかは慎重に検討しておきましょう。

自社で行う

自社デザイナーがロゴを作るメリットは、伝えたいイメージを詳細に検討できる点です。

企業の歴史や社内の雰囲気など、文章として記録されていない特徴をデザインに反映することができるのは自社でのロゴマーク制作のメリットでしょう。

デメリットとして、デザインが主観的に傾くことがあるので注意が必要です。会社内の人だけに伝わるようなデザインにならないような配慮がいります。

フリーランスのデザイナーに依頼する

フリーランスのデザイナーに依頼することで、作成費用を抑えることができます。予算に余裕がない企業にとっては、費用削減はメリットとなるでしょう。

デメリットは、作業時間が限られているため、企業風土を十分に共有できない場合があることです。また、委託先のデザイナーがロゴマーク作成を専門にしている場合、過去に制作した企業と似通ってしまう場合もあります。どのようなロゴマークを作成してきたか見せてもらうことで、デザイナーの特徴を理解したうえで依頼すると良いでしょう。「企業の顔」となるロゴなのでデザイナーの選定には慎重さが必要です。

専門の制作会社に依頼する

制作会社に依頼すると、完成度を高めやすいというメリットがあります。

打ち合わせを通してロゴマークで表現したいことを明確に共有しやすく、共有された情報を元に仕上がるデザインの品質も信頼できます。また、長期的な付き合いがしやすく、将来的にロゴのリニューアルデザインを相談することもできるかもしれません。

予算に余裕がある場合は専門の制作会社に委託するのが最適でしょう。

まとめ

ロゴマーク作成は、企業のブランドを築くためには欠かすことができません。

印刷や映像化など、幅広い場面で利用できるよう、できるだけ洗練されたシンプルなデザインのロゴを目指しましょう。複雑すぎず、目に入った瞬間に企業のブランドを認知してもらえるロゴマークが理想的です。

ロゴ制作を委託する選択肢は複数ありますが、予算に余裕がある場合は専門の制作会社に依頼するのが最適です。高品質なロゴマークは長期的にブランドの価値を高めてくれるため、仕上がりの品質に可能な限りこだわりましょう。