「業界ナンバーワンの高品質」や「世界で1番の性能です」といった言葉は購入率を高められる便利な言葉です。「外部機関による調査」や「当社比」といった客観的に認められる根拠を提示できる場合は、製品パンフレットやカタログに盛り込んでいきたい言葉ですが、使い方を間違えると景品表示法(景表法)の違反に繋がるので注意しなくてはなりません。
景品表示法を違反した事業者名は公開される可能性があり、世間的な信頼を大きく失ってしまう危険があります。広告で景品表示法を違反しないための表現について確認していきましょう。
目次
景品表示法(景表法)とは
景品表示法は、消費者が安心して買い物をする環境を整えるための法律です。事業者が提供する商品において、品質や価格を偽ることを防止する目的があります。
景品表示法(景表法)の禁止事項
具体的な規制内容は主に2つあり、「不当な表示の禁止」と「過大な景品提供の禁止」です。それぞれの商品や価格に関する表示と、商品とあわせて提供する景品について規制を設けています。
不当な表示の禁止
「不当な表示の禁止」は3種類に分類され、それぞれ以下のように役割が割り振られています。
優良誤認表示 | 商品の品質や内容について |
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有利誤認表示 | 商品の価格について |
誤認されるおそれがある表示 | 一般消費者に誤認されるおそれがあることについて |
例えば、原産国が中国であるにもかかわらず根拠なく「国内産」と表示したり、本来は「1万円」の販売価格を「10万円」と高値に設定してから「10万円の商品を9割引の1万円で販売しています」と大幅に割り引いたように見せたりすることは、誤解を招くので「優良誤認表示」に該当します。
過大な景品提供の禁止
「過大な景品提供の禁止」は、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3つに分類されます。購入金額に応じた懸賞や、景品の提供に関する規制で、いずれも取引価格に応じた最高額が定められています。
例えば「総付景品」では「取引価額1000円以上」のものに対して景品の最高額は「取引価額の10分の2」と決まっているので、景品として提供するものの価値をよく確認することが大切です。
景品表示法(景表法)取締りの実態は?
景品表示法の違反で取締りを受ける事業者の数はやや減少傾向にあります。消費者庁の措置命令件数は2017年の50件をピークに、2018年は46件、2019年は40件、2020年には16件となりました。
〈参照〉景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要の公表(令和3年1月31日現在)
景品表示法(景表法)に違反するとどうなる?
違反した事業者に対しては消費者庁や都道府県から措置がなされます。対応は管轄行政により異なり、罰則内容もそれぞれ異なっていますが、消費者庁は事業者に聴取をして、場合によっては立ち入り検査を行います。
措置命令がなされると、罰則だけでなく事業者名も講評されるため事業者としての信頼を大きく損なう可能性があります。
まとめ
自社のサービスの自信があふれるあまり「業界で最高品質です」など、過剰なアピールをカタログやパンフレット、広告などでしたくなる場合もあるかもしれません。客観的な根拠に従って「品質が最高」「機能が業界トップ」といった文言を使うことに問題はありませんが、主観的な思いだけを理由に商品やサービスが優良であると主張してしまうと景表法の違反になる可能性が非常に高くなります。
過剰な表現ではなく、調査に基づいた根拠に従った表現を心がけましょう。ルール違反をすることでブランドイメージが下がるのと同じように、誠実な企業の態度は顧客からの好感度を高めることにつながります。適切な表現を活用して、魅力的な宣伝をしていきましょう。