イラストの使用は、完成度の高いパンフレット制作には欠かせません。イラストを効果的に使うコツをつかんでおくだけで、パンフレットのメッセージが明確になり、受け手に情報を伝えやすくなります。

ここでは、パンフレットのイラスト制作をする際にポイントや注意点を紹介していきます。

パンフレットでイラストを使用する方法

パンフレット用のイラストを制作する方法は主に2種類です。1つは専用イラストを制作すること。もう1つは既にあるイラスト素材を利用することです。またそれぞれに2つの選択肢があるので、確認していきましょう。

自社で制作する

制作作業をスムーズに進めやすい方法が、自社でイラストを作ることです。制作スタッフの意思疎通がしやすく、作業工程の管理やコンセプトの共有がしやすいというメリットがあります。

ただし、適した人材がいる場合のみ、自社での制作が可能です。イラスト制作ができるだけでなく、パンフレット制作に詳しい知識を持っているスタッフがいない場合は自社でのイラスト制作は適した選択とは言えません。自社での制作が難しい場合は、次の項目で紹介する外部依頼が適しています。

外部に依頼する

プロのイラストレーターに制作を委託することで、品質が高いイラストを用意することができます。理想は普段から付き合いがあるイラストレーターに依頼することですが、初めてパンフレットを制作する場合は専門の業者に依頼します。適切な業者の選び方に迷う場合は、打ち合わせを行い、制作するイラストやパンフレットのコンセプトをきちんと共有できるところを選びましょう。

また、品質の仕上がりよりも低予算に抑えることを優先したい場合は、クラウドソーシングを利用して、イラストレーターを募集するという方法もあります。

有料素材を使用する

パンフレット用のイラストを用意する方法として、販売しているイラストを購入するというものがあります。

Adobe Stock」のような、バリエーションが豊富で、クオリティーが高いイラストを揃えているサービスを利用することで、簡単に素材を手に入れることができます。既に仕上がっているイラストなので、購入後すぐに使用できることが利点です。

無料素材を使用する

有料素材を購入するほど予算がない場合は、無料素材を利用すると良いでしょう。フリー素材を提供する「いらすとや」などがよく知られています。

無料素材の場合、クレジット表記が必要であったり、制作物一つ当たりに使用できる件数や配布点数が決まっていたりと、規約が細かく定められている場合があります。利用規約をよく確認して使うようにしましょう。たとえば「いらすとや」では、「一つの作成物の中に20点までは無料」と明記されています。

パンフレットにイラストを使用する効果

イラストを利用することで、パンフレットの訴求力を高められます。レイアウトやイラストを活用することで視覚的アプローチができるためです。いくつかの具体的な効果を確認しておきましょう。

文章のみよりも内容が伝わりやすい(イメージしやすい)

企業概要や採用募集要項を紹介するパンフレットがあったとします。この場合、掲載内容ならではの特徴ですが、文章表現に頼ってしまいがちです。

例えば、社員の一日の仕事内容を紹介するページでは、9時に出社・13時営業外回り・15時に新規事業の打ち合わせ、といった説明をしますが、文字を中心とした解説になってしまいます。そのため、読み手の集中力が必要です。ですが、時計のイラストを入れたり、ミーティング中の様子をイメージしたイラストを利用したりすることで、直感的に内容を理解できるようになり、読みやすい印象になります。

ターゲット層に的確にアプローチできる

イラストを活用すると、パンフレットのメッセージをより多くの人に伝えることができます。

テキストは情報を的確に伝えるために欠かすことができません。しかし、パンフレットを手に取り、内容をじっくり読むかどうかを決定することは直感的な動作です。テキスト中心のデザインを施したパンフレットは、受け手にわかりにくい印象を与えてしまい、詳しく読み進めてもらうチャンスを逃してしまいがちです。

イラストを含んだデザインであれば、パンフレット内容を直感的に理解しやすく、受け手がページをめくる手を止めず、読み進める確率を高めることができます。イラストを用いることで、パンフレットを手に取って欲しいターゲット層が、直感的に続きを読みたくなる設計に仕上げることができるのです。

レイアウトを意識すると効果的にイラストを活用できる

テキストとイラストの特徴を利用したレイアウトで、完成度の高いパンフレットを作ることができます。

パンフレットの特徴は、複数ページにわたり情報を紹介することです。チラシや広告のように1枚ではなく、小冊子のように数十ページにわたるわけでもない、ほどよい数のページ構成なので、テキストとイラストのバランスを考慮することが大切です。

詳しい情報を伝えたい場面ではテキスト中心でイラストをアクセントに用い、雰囲気や印象などの抽象的な情報を伝えたい場合にはイラストを中心にしてテキストで補足するなど、レイアウトには様々なパターンがあります。伝えたい内容に最適なレイアウトとイラストを使用することで、受け手が興味を持つパンフレットに仕上げることができます。

イラスト制作・使用時の注意点

イラストには、制作段階と使用する際に注意しておくべきことがあります。この点を見落としてしまうと、パンフレットのクオリティが下がるだけでなく、最悪のケースでは訴訟トラブルなどにもつながるので、準備段階でよく確認しておきましょう。

パンフレットの内容と合うか(企業イメージと合うか)

イラストとパンフレットには相性があります。伝えたいイメージに最適な絵柄のイラストを利用することが大切です。

例えば、個人を対象にパンフレットを配布する場合は、親しみやすい絵柄の無料イラスト素材を利用するのが適しているとします。しかし法人営業で配布するパンフレットでは、取引先として信用を獲得することが必要です。その場合は親しみやすさよりも堅実な印象を与えることが必要となるかもしれません。そのため、無料イラスト素材よりも自社独自で制作したイラストが適していると考えることができます。

パンフレットを受け取った相手が、パンフレットで紹介する内容に対してどのような印象を抱くか想定して、使用するイラストを決定しましょう。

イラストを多用しすぎていないか

パンフレットのレイアウトにより比重は異なりますが、イラストはアクセントとして利用される場合が多くあります。テキスト中心で堅苦しい印象を与えないよう、イラストで印象を和らげる程度に活用するのが良いでしょう。

また、キャラクターイラストを使用する場合は、様々な人物を登場させるとパンフレットの一貫性が損なわれてしまいます。自社でキャラクターを持っている場合は、そのキャラクターの使用に特化し、所有していない場合でもキャラクターを利用する場合は数種類程度にとどめることで一貫した印象を持ってもらえるように工夫すると良いでしょう。

著作権は問題ないか

無料と有料を問わず、イラスト素材を利用する場合は、著作権についてよく確認しましょう。ほとんどの場合で、使用する場合にクレジット表記が必要であるなどの利用規約が定められています。規約をよく確認せずに利用し、違反してしまうと、利用料金を追加で請求されたり賠償金請求されたりといったトラブルに発展する場合もあるほどです。

また、イラスト制作の委託先を選ぶ際にも同じように注意が必要となります。制作されたイラストが他人の著作物の盗作でトラブルに発展するケースもあるので、委託先のイラストレーターや制作会社が公開しているポートフォリオ(過去の制作物)を確認しておきましょう。

外部に依頼する場合はイメージを明確に

イラスト制作を依頼する際には、パンフレットのコンセプトを制作者とよく共有するよう心がけます。必要なイラスト素材の具体的なイメージを伝えることは重要ですが、パンフレット全体を通して表現したいことを共有しておくかおかないかで、イラストの雰囲気に違いが出てきます。パンフレットの雰囲気と馴染むよう、コンセプトの共有はよく行っておきましょう。

まとめ

ここではパンフレットにイラストを使う際の具体的な方法や注意点を確認しました。
イラストを効果的に利用することで、パンフレットの仕上がりが劇的に良くなります。適切なメッセージを伝えるために、ここで紹介したコツをご利用下さい。